#スタートアップPR で準備したい「初めてのプレスリリース」3つのポイント、1つのタブー

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前回に引き続きスタートアップのPR(パブリック・リレーションズ)でもうひとつ。初めてのプレスリリースについてその方法や注意点などです。最近、本当に若い学生起業家などが増えてきて早い時期からの挑戦に期待する一方、経験上メディア対応に不慣れだったり、あまりこのあたりのノウハウがまとまってるところないなと感じる事案が多かったのでメモ程度に置いておきます。

なお、改めてですが私はプロ広報ではなく書く側です。また事業者としてTHE BRIDGEをスタートアップさせ、PR TIMESに事業売却したのち、PRに関する考察や取材を通じて考え方を整理している途中です。また、ここでの内容は「本当にスタートアップして初めてプレス向けのリリースを打つんだけど、どうしたらいいかわからない」方向けです。その観点でご一読いただければ。過去記事・取材はこちらから。

重要なポイントは次の3つ。

  • プレスリリースの目的を明確に
  • 関係性の積み上げ、行動の促進
  • ツールや解禁のルールを知る

では掘り下げます。

1:プレスリリースの目的を明確に

プレスリリースで書く側(少なくとも私)がチェックするのは1:ニュース性、2:ストーリーの2点です。企業は自社の宣伝をするために「1」のニュース性をトリガーにしてメディアに売り込み、「2」のストーリーで自分たちが関係を作りたい対象に語りかけ、行動を促すのです。
しかし、残念ながらスタートアップそのものには「1」の要素となるニュース性がほぼありません。

創業わずかですから話題がないのはこれまでに書いた通りです。さらに最近ではスタートアップへの資金調達の話題も大変数が増え、相対的にニュースバリューはなくなりつつあります。スタートアップPRにおけるリリースのきっかけになるトリガーとしては、資金調達、賞レース優勝、著名人材の参加などがありますが、そのどれも相対的な価値が下がっている状況です。
余談ですが、2011年頃、リーマンショックに震災とダブルパンチを経て、スタートアップの資金調達環境がズタボロだった時期があります。あの頃は1億円の資金を獲得するだけでも大きな話題になりました。それはそのサービスへの期待値はもちろん、社会が挑戦を後押ししているんだというトレンドに価値があったんだと思います。

ここで重要になるのがストーリーです。どのようなスタートアップでも「創業ストーリー」は必ずあります。なぜやるのか、なぜ自分なのか、なぜ他の人は自分より上手くやれないのか。これは創業期しか撃てない弾です。そのストーリーを武器に、パブリシティしたい内容を明確にするのです。一緒にやってくれる仲間が欲しいのか、次の支援者を探しているのか、サービスを使ってフィードバックしてくれる人を探しているのか。

目的が明確であれば自然とコンテンツはその方向を向きます。この「感動」を語れるのは創業者のみです。そして感動は人を動かすことにつながります。

では、よしんばニュースとしてプレスリリースがニュースメディアに取り上げられなかったとしましょう。しかしこの記事にも書いた通り、今、メディアの環境は大きく変わっています。PR TIMESなどのリリースワイヤーサービスで消費者に情報は届けられるし、ストーリーはどこにでも載せることができます。

2:関係性の積み上げと行動の促進

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逆算で考えるスタートアップPRでも書きましたが、パブリック・リレーションズは継続的な活動です。当然ながらPDCAがありますし、そのKPIを積み上げることで企業のアセットにしなければなりません。ここで大切な資産が「信頼」です。リレーションシップ・マネジメントにおけるパブリック(社会)はスタートアップごとに重要度は異なりますが、ユーザー、社員、株主、取引先、メディアの5方向ぐらいが大きな対象になるでしょう。

パブリシティ活動、プレスリリース配信をタダ乗り広告と考えている方には、この目に見えない「信頼アセット」の積み上げという効果は目に入りません。PLばっかり見ててBS見てない経営者とよく似てるかもしれません。脱線しました。

今回のリリースでどういう人たちと関係を結ぼうか、そしてそれをどのような結果として可視化しようか。勉強会への参加でもいいですし、サービス利用でもいいです。なんらかの行動につなげる導線を設計し、プレスリリースを効果的に資産に変える行為が必要になるのです。

3:ツールや解禁のルールを知る

コンセプトは分かったけど、で、具体的に細かいルールとかどうやるんですかというのも多いので、ポイントを箇条書きしておきます(あとで追記するかも)。

  • プレスリリースの書き方:フォーマットがありますので探して真似しましょう。5W1Hのファクトが重要です。取材受ける時にはこれら素材を用意しておきましょう
  • 解禁日時とは:この時間に情報解禁するというメディアと企業の紳士協定です。企業側で決めましょう
  • 取材写真とは:実際にあって取材したことを証明するために撮影するものです。アー写ではありません
  • 記者調整はいつから:1、2週間前からコミュニケーションしましょう
  • どこでメディアと出会う:エンジェルやファンドなどスタートアップと関係ある人の紹介がベスト

全てにおいてそうですが、今の時期であればエンジェル投資家に聞くのが一番早いと思います。彼らは起業家としての取材経験もありますし、何があるのかも理解しているでしょう。逆にそういう方から支援を受けていない・受けられなかった人はプロダクトを見直した方がいいと思います。

最後にタブーをひとつ

ということで、本当に初めてのスタートアップ向けプレスリリースということで、ポイントを整理しておきました。恐らく、今後、私の取材活動でこちらをご一読くださいとURL投げられる方もいらっしゃるかもしれないので、一点注意を書いておきます。

それは関係性を考え抜く、ということです。

パブリシティ活動は宣伝です。自分たちのことを上手に伝えたいし、かっこよく見せたいと思うでしょう。しかしちょっと考えてみてください。もし誰か人に出会ってずっと自慢話されたらどう思うでしょうか。大切なのは会話であり、一方的な宣伝ではないのです。

このように関係性を無視した行為はPRにおける最大のタブーです。無学では企業に大きな損害を与えることになります。

プレス向けのリリースやパブリシティ活動も、人と人のコミュニケーションと基本は同じです。特に創業間もないスタートアップの場合、「創業メンバー=法人」ですから、ほぼそれに近い状態になると思います。

何はともあれ、これを読んで初めてのプレスリリースを書く方に、よい関係が生まれることを期待しています。

追記:関係性とは何か、何をもって良い・悪いとするかというご質問があったので追記しておきます。パブリシティ活動は行動促進とセットなので、関係性を持った人たちが期待通りの行動をしてくれれば資産になります。例えばTHE BRIDGEでは重要なパブリック(関係対象)を起業家と投資家に設定していました。彼らに取材させてもらえる、情報が貰える、これが期待する行動です。逆に関係作りするなかで彼らの体験が悪くなり、情報を貰えない状態になったらNG、という具合です。